ソーシャルワークのグローバル定義における多様性(ダイバーシティ)の尊重
―日本の社会福祉教育への「隠れたカリキュラム」視点導入の意義-
三島 亜紀子
和文抄録
2014 年に採択されたソーシャルワークのグローバル定義には,「多様性(diversity)」の語が加えられた.本定義や英米の社会福祉教育などにおいて,多様性が示す範囲は人種,年齢,障害,階級,性的指向性など幅広い.今後,日本でも広義の「多様性の尊重」という価値観がソーシャルワークの実践や社会福祉教育のなかでさらに重要視されるようになるだろう.
本稿では,語源や各種定義や基準における diversity の意味を概観した後,多様性に関する歴史的経緯や思想的背景を考察した.今後,多様性をキーワードとして,ソーシャルワーカーとして多様な属性をもつ人々を抑圧する社会構造を批判的に分析できる知識とそれぞれ異なる配慮をする能力を身につける必要があることを指摘した.加えて多様性が重複することもあること,今後のソーシャルワーク教育では「隠れたカリキュラム」への配慮も欠かせない点をあげた.
ソーシャルワーク学会誌 第30号 1‒12 2015 本文(PDF:478KB)
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