高齢者へのアウトリーチにおける同居するひきこもり成人の子への関係構築
-地域包括支援センターの社会福祉士に対する調査より-
淡路 和孝
和文抄録
本研究は,地域包括支援センターの社会福祉士(以下,社会福祉士)に対する調査を通じて,高齢者へのアウトリーチが同居するひきこもり成人の子(以下,成人の子)に肯定的な変化をもたらすために,社会福祉士が成人の子とどのような関係を構築しているのかについて明らかにすることを目的とする.社会福祉士を対象に半構造化面接を実施した結果,社会福祉士が高齢の親に関する状況について成人の子と話し合うなかで,成人の子が自らの意志で社会福祉士に相談できるようになり,さらに高齢の親に関する思いも話せるようになった.地域包括支援センターのアウトリーチは成人の子のひきこもり解消を目的としていない.むしろ,このことが成人の子との対等な関係を構築し,成人の子に肯定的な変化をもたらしたと考えられる.これらは先行研究にない独自の視点である.
ソーシャルワーク学会誌第49 号1-12 2024 本文(PDF:620KB)
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